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今帰省している。僕の実家は佐賀県だ。佐賀県は途轍もなく田舎で、一般的なイメージ通り、何もない。加えて、市のマスコットキャラクターが、ローカルのラジオで卑猥な発言を連発して問題になったりして、目も当てられない有様だ。

生まれは福岡なので、東京に出ていって自己紹介をする時には「福岡出身です」と言うようにしている。嘘偽りはないし、お互いの為だと思っている。後で付加情報として、「あ、今は佐賀県に住んでるんですけどね、へへへ」と馬鹿面下げて言う。「福岡」という単語は会話の潤滑油になってくれる。「佐賀」は、歯車を凄まじい勢いで錆させる。会話を凍らせる。後は自虐をしながらそれを解凍する作業しか残されなくなる。虚しすぎる。

 そんなドの付く田舎で何をしてるかというと、何もしていない。「何もしてないをしているのさ」とくまのプーさんピグレットに向かって言ったらしいけど、正直何言ってんだこいつと思う。哲学者かお前はと思う。クマなら鮭食えよと思う。僕の友達がこんなこと言ってきたら殴ると思う。先輩が言ってきても自然に手が出ると思う。

9月も中旬に差し掛かってきて、夜は随分と涼しくなってきた。夏が終わってしまう。大学一年生の夏は、色々な事をしたようで、肝心な何かはしてないようなそんな感覚がある。夏は暑いし好きではないけど、終わると寂しい。その寂寥感を埋める為に友達と遊んだり、本を読んだり、音楽を聴いたりしているけど、ふとした時にやっぱりどうしようもなく虚しくなる。こんな時に「何もないをしているのさ」と堂々と言われたら活力を貰えるのかもしれない。しばき回すけど。

 

「ユウウツが別の新しいユウウツを作り出すなんて やってらんないでもやるけどね」-脳/TOMOVSKY